中小企業診断士の受験生や、受験を検討している方から「診断士試験って、合格しても実務補習を受けないといけないんですよね..」と相談を何件かいただきましたので、実務補習の実態について紹介したいと思います。

結論から書いておくと…受験勉強の方がずっと大変だから実務補習の負荷はあまり気にしなくて大丈夫です!

実務補習の内容や体験談を踏まえ、不安視しなくてもよい理由とぼくなりに解説してみたいと思います。

参考:中小企業診断士に合格して5年。変わったこと。(YouTube)
→合格後の収入等が気になる方は動画をどうぞ!
スポンサーリンク

中小企業診断士の「実務補習」とは

中小企業診断士の資格は、試験に合格するだけでは取得できません。

2次試験に合格後に「実務補習」を受講して登録することができます。具体的には以下の要件が必要です。

中小企業診断士第2次試験に合格後、3年以内に実務補習を15日以上受けるか、診断実務に15日以上従事すること。

ほとんどの方が、中小企業診断協会などが主催している実務補習を受講するのですが、この「実務補習」でなにをするのか具体的に紹介したいと思います。

実務補習の実施方法

一言でいえば、経営コンサルティングの一連の流れを実際に体験する実習です。

まず中小企業診断士2次試験合格者が受講者となり5~6名でグループを編成します。

そのグループに指導員(先輩診断士)がつき、指導のもと実際に企業等に対する経営診断・助言を行います。

このグループ編成は、中小企業診断協会が割り振りを決めますので友人と一緒にグループを作るということはできません。

実務補習のスケジュール

1日目でチームメンバの顔合わせ、2日目で実際に企業を訪問し、3日目、4日目で診断報告書を作成し、5日目に企業を訪問し経営者に対してプレゼンテーションを行い診断報告書を提出するのが一般的です。

第1日目 グループ別打合せ、企業等の訪問・調査、資料分析など
第2日目 企業等の訪問・調査、資料分析など
第3日目 全体調整、診断報告書の作成
第4日目 全体調整、診断報告書の作成
第5日目 企業等への報告会など

ポイントはこの実務補習は5日連続ではなく、2日目と3日目は期間が空いている点です。その期間はグループ内で連絡ながら報告書を作成するんです。

つまり5日参加すればOK!な研修ではなく、実質9日間かけて診断報告書を作成する実習です。

この5日間が1セットで、5日間×3回を行うことで晴れて中小企業診断士に登録するすることができます。大変ですが楽しいですよ!

試験に合格しても実務補習を受講しないとダメなら中小企業診断士を取得するのをやめよう…と考える方や不安になる方も多いと思いますが、気にしなくて大丈夫ですよ。理由は後程説明します。

実務補習で作る報告書

最終的な成果物として診断報告書を作成するのですが、その中身はというと…

  • 経営戦略
  • 営業・マーケティング
  • 生産管理・運営管理
  • 財務・会計

の章に分けて1人1章を担当するのが基本形です。要は、2次の筆記試験の科目と同じです。

あとはグループの人数と診断先企業にあわせて、経営情報システム(IT活用)や人的資源管理(人事強化)を章に加えたり、生産と運営管理を別の章にしたりします。

参加した僕の感想

即席でグループを作りチーム作業を行うことに不安がありましたが、不思議なことになんとかなります。

即席チームとはいえ、全員が中小企業診断士試験に合格者で基本的な知識はあって共通言語は多いですし、基本的に前向きな人ばかりなのでコミュニケーションも取りやすい。

初日と2日目は他人行儀でよそよそしい部分もありましたし、この人ちょっと独特で苦手だなーっと思っていても、3日目くらいからは連帯感が出てきて結構楽しかったです。

なぜ実務補習があるのか?

中小企業診断士の資格を取得するのに、どうして実務補習があるのか?それは試験内容をみると分かり易いと思います。

1次試験 経営全般の基礎知識があるか
2次試験(筆記) 与えられた条件で制限時間内に改善の方向性を示すことができるか
2次試験(口述) 対面で質問されたことに適切に応えることができるか
実務補習 調査・ヒアリングで課題の本質を見抜き、改善の方向性を示せるか

2次試験の事例問題が難しいといわれたりしますが、所詮は与件文に内容がまとまっているペーパーテストです。

実際の経営コンサルティングの現場では2次試験の問題にあるような与件文はありません。与件となる情報から自分たちで集める必要があるんですよね。

つまり、業界の情報を調べたり、企業に出向いて現場を視察し、社長や社員にヒアリングして…

経営課題の本質を見抜き、改善提案を行う。これらの一連の流れを学ぶのが実務補習の位置づけなのだと思います。

実務補習は、時間もお金もかかるので大変ですが本業で経営コンサルティングをしていない方にとっては貴重な機会だと思います。

実務補習を受けられない

実務補習のために15日も会社休めない。。。受けられないない…どうしよう。。

と心配する方も多いと思いますが、結論からいうと気にしなくても大丈夫です。

2次試験に合格するような人であれば全く心配不要だと思いますよ。

合格者の大半が同じ状況

中小企業診断士の受験生の大半は会社員が大半で、学生や主婦はほとんどいません。

合格者の大半の方が仕事をしながら忙しい合間を縫って勉強をしている方であり、基本的に会社に必要とされる人たちばかりです。

つまり、実務補習に行く時間がない…受けられないかもしれない…という悩みはみんな同じなのです。

事情を説明すれば大半は快諾してくれる

僕が知る限りでは、実務補習に行くために会社を休むことを上司に事情を説明したら快諾してくれた方がほとんどなんです。

中には、嫌みや妬みを言う先輩もいるらしいですが、上層部に反対されたというのはほぼ聞かないですね。

考えてみれば当たり前ですよ。
会社の中でデキる社員が難関資格に合格しているのですから登録してもらった方が会社にとってメリットはあります。(まぁ、そもそも有給休暇を認めないのは違法ですからね。)

最終手段は、体調不良で休む

中小企業診断士の受験をしていたことも内緒にしていて、今さら会社に説明するのはめんどくさいという方がいて、その方は体調不良で会社を休んでましたね。

上司が快諾してくれても、同じ部署内の先輩・後輩の目線が気になる方は…体表不良にして会社を休んでしまってもいいのかもしれませんね。

実務補習を心配しなくてよい理由

会社に反対されなくても、繁忙期や重要なプロジェクトに参加しているため、会社を休みたくないという方もいると思います。

土日を含めた5日間だから会社を休む日も少ない

実務補習は5日間を3回(3社)行うわけですが、この5日間は土日を含めた5日間です。つまり…

第1日目 金曜日
第2日目 土曜日
第3日目 土曜日
第4日目 日曜日
第5日目 月曜日

というスケジュールなので、土日週休2日の会社に勤めているのであれば、実際会社を休むのは2日間だけです。

15日コースに参加しても、実際有給で会社を休む必要があるのは6日間程度です。

もちろん、2日目から3日目の間は、日中は仕事をして夜に作業することになるので大変ですけどね。

でもまぁ受験生活に比べると期間も短いですし、先が見えているので楽々クリアできると思います。

3年以内に従事したらOK

もう一度、中小企業診断士の登録与件を確認しますと…

中小企業診断士第2次試験に合格後、3年以内に実務補習を15日以上受けるか、診断実務に15日以上従事すること。

合格したらすぐに15日に申し込んで有給を取得しなければいけない…なんてことはありません。

合格した年の2月に5日間だけ参加し、翌年に5日間、翌々年に5日間を受講してもいいんですよ。

さきほど説明したように週休2日の会社に勤めているのなら実質2日会社を休むだけでいいので、大した負担にはなりません。

まとめ

よく考えてください!!
中小企業診断士の2次試験に動確するまで何時間勉強しましたか?何日間勉強しましたか?受験生活に比べたら実務補習の期間なんて大したことないはずです。

受験検討者や受験生が「実務補習どうしよう~」というのは「合格しても実務補習いけないし..」という言い訳が混ざっていますし、合格者が「実務補習どうしよう~」というのは半分以上は喜びです。

「実務補習受けられない、どうしよう?」といってる合格者はみんなニコニコ、笑いながら言ってますよ♪