金融庁長官が、基調講演で話した内容が素晴らしすぎて感動しました。自分のメモも兼ねて、コメントを添えつつ記事にしたいと思います。

引用文が半分以上でごめんなさい。でもホントに良いことを話されているんで、ぜひ読んでみてください。少なくとも僕は共感しましたし感動しました!

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日本の資産運用業界への期待

日本証券アナリスト協会 第8回国際セミナー「資産運用ビジネスの新しい動きとそれに向けた戦略」で、森金融庁長官が語った内容を抜粋しました。

積立 NISA の対象投信

日本で売られている公募株式投信は5406本ありますが、そのうちインデックス型株式投信は381本です。

これから、毎月分配型の投信、レバレッジのかかった投信、信託期間が短く長期投資を前提としていない投信を除き、ノーロードで信託報酬が一定率以下のものに限ると、積立NISAの対象として残ったものは 50 本弱でした。

これ、資産形成のために国として許容できる投資信託は50本弱ということ。逆を言えば、残り99%の投資信託は長期の資産形成には向かないってことですよね。

「投資信託なんて儲からないよ。やめておけ。」的なことを言うネガティブな人が多いわけです。

10 年以上存続している日本の株式アクティブ型投信281本の過去10年間の平均リターンは信託報酬控除後で年率 1.4%であり、全体の約三分の一が信託報酬控除後のリターンがマイナスとなっていました。

ちなみに、この10年間で日経平均株価は年率約3%上昇しており、インデックス投信が一般的にアクティブ型投信に比べリターンが高い

ぼくのような素人は、個別株でトレードせずにインデックス投信でコツコツ積立した方が手堅く資産を増やすことができるってことですね。

2707本ある日本のアクティブ型投信について、設定以来、三分の二以上の期間において資金流入超となっており、ノーロードで信託報酬が一定率以下であることなどを要件としたところ、これを満たすものは、5本でした。

2707本中5本って…0.18%ですからね?酷過ぎますね。
ようは投資信託で日本のアクティブ型投信で積立てる場合、相当慎重に選ぶ必要があるってことですね。僕が積立ててる、ひふみ投信はこの条件を満たす優良投信だと信じたい…!

我が国の投信販売の問題点

本年2月の我が国における純資産上位 10 本の投信をみてみると、これらの販売手数料の平均は 3.1%、信託報酬の平均は 1.5%となっています。

世界的な低金利の中、こうした高いコストを上回るリターンをあげることは容易ではありません。

販売手数料平均3.1%、信託報酬平均1.5%には驚きですね。。年配の方が高い信託報酬にぼったくられてるんでしょうね…。

手数料ゼロ(ノーロード)&低コスト(信託報酬0.3%以下)のインデックス投信にしとけばいいのにね。

顧客本位の業務運営に関する原則

本原則に従って、顧客の立場に立って情報を分かりやすく提供するとどうなるかを自分なりに考えてみました。
(略)
皆さん、考えてみてください。正しい金融知識を持った顧客には売りづらい商品を作って一般顧客に売るビジネス、手数料獲得が優先され顧客の利益が軽視される結果、顧客の資産を増やすことが出来ないビジネスは、そもそも社会的に続ける価値があるものですか?

こうした商品を組成し、販売している金融機関の経営者は、社員に本当に仕事のやりがいを与えることが出来ているでしょうか?

また、こうしたビジネスモデルは、果たして金融機関・金融グループの中長期的な価値向上につながっているのでしょうか?
(略)
客観的な数字でみても、リーマンショック後の2009年から2015年までの6年間で、我が国の銀行預金は全体で 589 兆円から 730 兆円へと 140 兆円増加したのに対し、銀行の窓口販売による投信残高は、同じ期間に 23 兆円から 22 兆円に微減しています。

更に長いスパンで見ても、家計金融資産に占めるリスク性資産(株式・投信等)の保有割合は 1990 年の 13.2%から、2015 年には 14.5%とほとんど増えていません。

結果として、日本の家計金融資産は世界第2位の規模であるにもかかわらず、日本の運用会社をみると、金融グループ単位で国内最大の三井住友トラストホールディングスであっても、運用資産額は世界 33 位に過ぎず、その運用資産額は1位のブラックロックの約七分の一に留まっています。

このように、これまで我々は、国民の資産形成が進まず、リスクマネーの供給は不十分であり、世界的な運用会社も育たないという、決して皆が望まない均衡状態を続けてきたのではないでしょうか。

皆様は、こうした状況をいつまでお続けになるつもりですか?

正論過ぎて感動しますね。コレは。

金融庁長官という立場で、しかも公で…ここまで言及するということは、今後どんどん変わってきそうな気がしますね。

金融庁の課題

金融庁としても、こうした決して最適とは言えない均衡からの脱却をこれまで実現できなかったことを、大いに反省しなければなりません。

金融庁発足以来、投資家保護は金融行政の中核に位置づけられ、適合性の原則などの観点から、販売会社が投資する人にあった売り方をしているかを、検査などでも重点的に検証してきました。

この結果、金融商品販売の手法や販売資料のディスクレーマーなどについて、形式的な面は改善しましたが、ビジネスの本質が顧客本位に変わったとはいえません。
(略)
高い運用力を持つ金融機関、顧客本位が組織に根付いた金融機関が発展し、顧客本位を口で言うだけで具体的な行動につなげられない金融機関が淘汰されていく市場メカニズムが有効に働くような環境を作っていくことが、我々の責務であり、そのため行政として最大限の努力をしていくつもりです。

顧客本位を口で言うだけで具体的な行動につなげられない金融機関が淘汰されていく市場メカニズムが有効に働くような環境を作っていく」ってカッコ良すぎ!!

顧客と騙し合いするために複雑な投資信託を作る方向じゃなくって、投資信託同士で競争していってくれると、ぼくのような個人投資家は嬉しいですよね。

顧客本位に変われない金融機関なんて潰れてもらった方がいいですね。大賛成!

最後に

これまでのやり方を続けていては、今後十年経っても二十年経っても何も変わらず、日本の資産運用業は衰退していくだけではないでしょうか。
(略)
これからも皆様と一緒になって、我が国の資産運用業の発展に取り組んでいきたいと考えております。よろしくお願い申し上げます。

正直、行政の方がここまで言及するなんて思ってなかった。指摘内容が本質をついてますし、かなり深く踏み込んだ内容で本当に感動しました。

本記事の引用元について:
本記事は金融庁HPで公開されている日本証券アナリスト協会 第8回国際セミナー「資産運用ビジネスの新しい動きとそれに向けた戦略」における森金融庁長官基調講演 2017年4月7日から一部引用させていただきました。全文をご覧になりたい方は、金融庁HPのこちら(PDF)でご覧いただくことができます。