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アマゾンで評価が高かったので、読んでみました!

地域活性化・商店街活性化で成功したとされる現地に行き、写真付きで紹介して実態を暴露してます。
ボロクソに批評してたり。。

失敗事例・失敗要因に焦点をあてて書いてある本は少ないので非常に貴重な本です。

では、気になった部分を紹介しましょう。

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地域再生の罠 なぜ市民と地方は豊かになれないのか?

成功事例を模倣しても失敗する

「成功模倣主義」には大きな二つの欠陥がある。
①専門家が推奨する成功事例のほとんどが、実は成功していない。
②稀にある「本当の成功」は、異国や昔の古い話であり、しかも模倣が極めて難しい

地域再生がうまくいかない理由は、成功を事例を真似る風習があるからだと切り込みます。

中小企業庁が取り上げているがんばる商店街77選(/2006年)に選ばれている商店街に行き、閑散として人が誰もいない写真を掲載してつっこんでます。

専門家がお墨付きをあたえた成功モデルには、多くの視察者が訪れる。視察者は地元に帰ると、成功モデルの模倣に取り組む。模倣の効果は、どんなに頑張っても「モデル並み」だろう。こうして、イベントに依存し、「イベント時だけは賑わう商店街」が全国に広がってしまう。

この成功モデルを模倣する習慣は地域活性に限らずですね。。

ネットの施策でも、成功事例・成功モデルの“まねごと”をして失敗しているケースはよくみられます。

成功事例を参考にするときは、まねるのではなく成功したエッセンスを見抜き、自社・自分向けにチューニングして取り入れていくことが重要なのにね。

顧客や市民の本音の声に耳を傾ける

中高年男性がまず耳を傾けるべき相手は、私のような専門家ではなく、顧客や市民の本音の声である。

109宇都宮の失敗事例を取り上げながら、説得力のある内容でした。
この本音の声というのが胆で、久繁哲之介さんが現地のカフェで女子高生や女子大生が話していた内容を取り上げています。

このあたりは、「消費者インサイトを強化したら売上が格段に伸びた。」の記事で書いたような内容と似てて非常に共感!

地域再生とは、こうした心性をもつ今時の若者たちに、彼らが暮らしを営んでいる地域を愛してもらい、地域に定着してもらえるための仕組みを創ることでもある。
この仕組みは、街中や施設に「若者を来させる」という「提供者の視点」に立ったり作為的な発想からは、決して生まれてこない。
若者そして市民のライフスタイルを知り、それを満たす「顧客、市民の視点」が重要である。

グサッと指摘してます。

先日、情熱大陸というテレビ番組で高田純次さんは「若い子たちと話すとき絶対やっちゃいけないのが3つある。それは、説教・自慢話・昔話」とポロリと言っていたのが印象的だったのですが、このあたりと通じるものがある。

地域再生って将来のためにするわけですし。

先日記事にした鯖江市体験移住事業・ゆるい移住は、地元の若者だけでなく、市外・県外の若者にも意見を訊こうとすごいですよ。

本の全体的な印象

コンパクトシティ施策の象徴「岐阜シティ・タワー43」の事業費は約150億円である。この超高層ビル一つで「路面電車への赤字補てん55年分」に相当する

コンパクトシティを推進した岐阜市が高層ビルを造る一方、路面電車を廃止した点を痛烈に批判してたのが印象的。

公益意識とコスト意識の高い情熱にあふれた優秀な公務員の方が数的には多いと気配りをしつつ、自治体固有の風土・文化まで切り込んで批判してますから。。

徹底した現地取材を行った上で執筆されてるだけに説得力もあるし、地域再生の見えない課題を指摘されてるのでとても勉強になった!
成功事例として取り上げられているものを鵜呑みにしてしまうと危険ですね。

商店街再生の罠という本も執筆されてるので時間をみつけて読んでみたいと思う。
 

地域活性化の成功事例を取り上げる本は多いですが、失敗事例として取り上げた貴重な本!興味ある方はぜひ、ご一読を。