国土交通省が推進しているコンパクトシティ。
今の日本にコンパクトシティ必要なの?という疑問はありますが、公開されている資料の要点をまとめてみました。
国土交通省のコンパクトシティ
都市の現状と課題
国土交通省が推進しているコンパクトシティは過疎化が進む地方としだけでなく、人口増加・高齢化が進む大都市部への対策も必要としています。
国土交通省の資料から要点を抜粋すると…
地方都市の現状と課題
- 急速な人口減少と高齢化に直面し、地域の産業の停滞もあり活力が低下
- 住宅や店舗等の郊外立地が進み、市街地が拡散し、低密度な市街地を形成
- 厳しい財政状況下で、拡散した居住者の生活を支えるサービスの提供が将来困難になりかねない状況にある。
大都市の現状と課題
- 郊外部を中心に高齢者(特に85歳以上の高齢者)が急速に増加する予測
- 高齢者数の急増に伴い医療・介護の需要が急増し、医療・福祉サービスの提供や地域の活力維持が満足にできなくなる懸念
地方都市は、都市の部分的な問題への対症療法では間に合わず都市全体の観点からの取り組みを強力に推進する必要があり、
大都市では、在宅医療・介護を含めた地域包括ケアを実現するために医療・福祉機能の望ましい配置を推進する必要がある。
要は、モータリゼーションの発展で郊外化を進めて経済成長をしてきた反動、大都市部への一極集中の反動ですね。
コンパクトシティ形成の4つの目的
コンパクトシティを推進する目的は、限られた資源の集中的・効率的な利用で持続可能な都市・社会を実現すること。大きく4つにわけることができます。
持続可能な都市経営(財政、経済)のため
- 公共投資、行政サービスの効率化
- 公共施設の維持管理の合理化
- 住宅、宅地の資産価値の維持
- ビジネス環境の維持・向上、知恵の創出
- 健康増進による社会保障費の抑制
高齢者の生活環境・子育て環境のため
- 子育て、教育、医療、福祉の利用環境向上
- 高齢者・女性の社会参画
- 高齢者の健康増進
- 仕事と生活のバランス改善
- コミュニティ力の維持
地球環境、自然環境のため
- CO2排出削減
- エネルギーの効率的な利用
- 緑地、農地の保全
防災のため
- 災害危険性の低い地域の重点利用
- 集住による迅速、効率的な避難
要は、GDPが頭打ちになっている中、人口減少が減少し税収が少なくなる見込みの中で、満足のいく行政サービス提供できないことにあるのかと。
年々経済が成長し人口が増えるのであれば、お金をジャンジャン使えるけどそれが厳しくなる。
コンパクトシティをめぐる誤解
一極集中ではなく、多極型
中心的な拠点だけではなく、旧町村の役場周辺などの生活拠点も含めた、多極ネットワーク型のコンパクト化を目指す
全ての人口の集約を図るものではない
たとえば農業等の従事者が農村部に居住することは当然。(集約で一定エリアの人口密度を維持)
強制的な集約ではなく、誘導による集約
インセンティブを講じながら、時間をかけながら居住の集約化を推進
資料には、こう書いてあるけれど、まちが変化するわけなので全員が満足いく形というのは実質不可能でしょう。全員の意見を取り入れていては、変化できないですし。
日本にコンパクトシティは必要なの?という考えはあるのですが、コンパクトシティ政策を進めるのであれば..
全員の意見を聞いて、まちを再開発したけどコンパクトシティ形成失敗。まちの開発に関わった業者だけ儲かりました…って話になるようなことだけは避けたいですね。