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地方で雇用創出しても若者の東京圏への人口移動は止めれない
安倍内閣が掲げる地方創生と基本目標の記事にまとめた中に、「地方において若者向けの雇用をつくる。」という基本目標があったのだけど、これにはちょっと違和感がある。
東京圏への人口移動は、経済・雇用情勢の格差が影響しており、地方における雇用創出が東京一極集中是正につながる
これ、本当ですかね?
東京の有効求人倍率が高いわけではない
総務省統計局の都道府県別有効求人倍率
- 1位:東京(1.66倍)
- 2位:福井(1.55倍)
- 2位:愛知(1.55倍)
- 4位:石川(1.51倍)
- 5位:富山(1.46倍)
(三重県は1.28倍)
厚生労働省・各労働局の正社員有効求人倍率
- 1位:福井(1.08倍)
- 2位:愛知(1.06倍)
- 3位:東京(1.05倍)
- 4位:富山(1.03倍)
- 5位:岡山(1.00倍)
(三重県は0.77倍)
どちらも、2015年2月のデータです。
正社員有効求人数÷常用フルタイム有効求職者数で算出される正社員有効求人倍率はパートタイムが含まれていないので、より正確な雇用の実態がわかるのですが、有効求人倍率を見るかぎり東京がズバ抜けているわけではありません。
もちろん、有効求人倍率の低い県があることもあります。
でも、雇用がない。雇用がない。という声の大半は、仕事内容、通勤時間、賃金、、、希望を満たす雇用がない。っていう声なんだと捉えてます。
だから、むやみやたらに地方に雇用創出したところで、根本的な解決はしないと思う。地方創生の中の基本目標を否定するとかそういうのではなくて、個人的には地方の雇用創出をしても東京一極集中是正につながりにくいと思うわけです。
10代後半~20代の若者が東京圏へ人口移動する理由
行きたい大学が都市部にある、都市部で華やかな生活してみたい、などの理由で東京圏へ移動していることもあると思います。つまり個人的には、10代後半~20代の若者にとって、地方に魅力がない、または、東京圏の方が魅力があるから、東京圏へ人口移動しているのだと思う。
人口移動は起こりやすい環境になっている
時間的距離の短縮化
例えば、東京-三重県間の場合、物理的距離は昔と何も変わっていないのだけど、東海道新幹線や東名高速が整備された結果、移動時間はどんどん短縮されてます。お金はかかりますが帰ろうと思ったら、数時間で帰れますからね。リニア中央新幹線が開通したら、通勤・通学圏内になりうる。技術の発展と共に、時間的な距離がどんどん縮まっていると考えてます。
情報量の増加
昔に比べ入手できる情報も多くなりましたよね。現代はインターネットが普及してるから、世界中の情報にかんたんに触れることができる。つまり、情報が増えて選択肢がどんどん増える、時間的距離が短くなった影響もあって人口移動の障壁が低くなった、という風に人口移動は起こって当たり前の環境になっていっているのだと考えてます。
地域創生の実現には、東京圏に人口移動した若者が、地元に戻ってくる仕組みの方が重要
人口移動が起こりやすい環境下で、若者の人口移動を抑制するのは時代に逆行しているし、流れに逆らうのは効果が低いと思う。
なぜ、東京圏に移動した人が、地元に戻らないか?それは、東京圏から地元に戻りたくても、モチベーションを満たす受け皿が地方に不足しているからなんじゃないかな。
ここでいう「受け皿」とは単純な求人ではなく、「東京圏にいるよりも、やりがいを感じる仕事」「東京圏にいるよりも、モチベーションを保てる人間関係」などを指してます。正直、贅沢だと思います。だったら地方に戻らなくていい、ずっと東京圏にいたらいいという方もいると思います。それが結局、今の結果に繋がっている。
地域おこし協力隊の支援制度は、ぜひ成功してほしい
東京圏に人口移動した若者が、地元に戻ってくる仕組みのつくりが大きな鍵なると考えてます。その点、地域おこし協力隊の支援制度はすごくいい!ぜひ拡大していってほしいし、成功してほしい。
地域おこし協力隊の受け入れ自治体は、隊員1人の移住・定住を狙うだけでなく、隊員に地域の魅力を発信してもらって移住者を増やす仕掛けをするべきだと思う。
あとは国策に頼るだけでなく、地方自治体は独自でシティマーケティング・シティプロモーションを実施していくのも重要ですね。
都市部への人口移動の影響で核家族が増えた結果、夫婦の育児負担が増えたり、保育園等に入れず待機児童が増え…いろいろなところに影響してきてるから間違いないですからね。