2020年に東京オリンピック開催されるけど…日本の観光業ってどうなんだろう?
と思って読んでみました。
結論からいうと、超良書!
観光業とか関係なく、日本人全員が読むべき本だと思います。
デービッド・アトキンソン氏って誰? という方がほとんどだと思いますが…元ゴールドマン・サックスアナリストです。
1990年代、日本の銀行が抱える不良債権額が20兆円以上になるとレポートすると共に、メガバンクが4行に集約される事をいい当てた方です。
彼は預言者ではなくアナリスト。世界中の統計・動向情報を鋭い洞察と考察で、日本の観光業を分析・提案している本です。
観光立国に向けた日本の観光戦略
観光立国の4条件と日本
- 気候
- 自然
- 文化
- 食事
観光収益の高いフランス・アメリカ・中国・スペインはも極端な気候ではないとのこと。日本は四季がある上、北海道に行けばスキー、沖縄に行けばでビーチリゾートを楽しむことができる。この気候自体、観光立国のポテンシャルを秘めているという。
絶対数であればメキシコ・ブラジルの方が多いが、国連の数字によると単位面積あたりの動物・植物の数は世界一を誇るという。
お能、歌舞伎、和歌、俳句、三味線、お琴などの無形文化財。お城、お寺、神社などの有形文化財。日本庭園や華道・茶道・剣道・柔道・相撲道などのさまざまな「道」もある。たしかに日本特有の文化がある。
「和食」が世界無形文化遺産となっている。そのほか、日本国内の「洋食」というのもかなりハイレベルで多様性に富んでいるという。
観光立国の上位に共通する項目ということで説得力のある切り口です。和食以外の食事に関する指摘は鋭いと思います。
外国人向けのアピールポイントが間違っている
日本人が考える日本のアピールポイント
- 日本人のマナーや気配りの素晴らしさ
- 日本の食文化、おいしい食べ物
- 治安のよさ
- 洗練された日本のサービス
とあるが、これは日本人視点であり、外国人旅行者の観光したい動機にはなっていないとのこと。要は、日本人の勝手な押しつけということ。
また、オリンピック誘致のプレゼンテーションの際、滝川クリスタルさんが「お・も・て・な・し」スピーチについても触れており…
日本人の多くは、あの「おもてなし」にまつわるスピーチが高く評価され、日本開催が決定したと思っていることでしょう。実際に日本のマスコミは、そのように報道しました。
しかし、残念ながら世界的にはまったく逆で、あのプレゼンテーションの「おもてなし」についてはかなり厳しいことも言われており、むしろ否定的な意見が多いのです。
とズバリ。
本の全体的な印象
短期移民(要は外国人観光客)を増やさなければ日本はGDPを維持できない、外国人観光客を増やしたいのであれば外国人観光客のニーズに対応する必要があるという話の展開が気持ちよかった!
グローバルで活躍する有名アナリストの鋭い洞察力と考察力を感じることのできる本です。
いろいろ考えるキッカケになったので、後々記事にしていきたいと思う。